焦点:マカオのカジノ、賭博以外への事業多角化は切り札不足

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焦点:マカオのカジノ、賭博以外への事業多角化は切り札不足

[香港 3日 ロイター] – 世界最大のギャンブルの聖地マカオ。当地のカジノは1月1日から新たなライセンスのもとで営業する。だが政府は主たる収益源である賭博以外の事業への多角化を義務づけており、これを順守できるかどうかは難しい賭けだ。

サンズ・チャイナ、ウィン・マカオ、MGMチャイナ、ギャラクシー・エンターテイメント、メルコ・リゾーツ、SJMホールディングスといった各社は、過去20年間、中国の特別行政区であるマカオで営業するカジノで何十億ドルもの利益を上げ、かつてはのどかな漁村だった場所をきらびやかな繁華街へと変貌させた。

だが、ちょうどコロナ禍による行動制限でマカオ賭博産業の収益が激減した時期に、期間が10年に短縮された新規契約のタイミングが来てしまった。2022年の年間業績は過去最悪である。賭博産業の純債務が急増する中で、カジノ各社は政府の監視と統制を受ける新たな時代を迎えようとしている。

22年12月、中国本土とマカオではコロナ禍に伴う行動制限が緩和されたが、同時にマカオ全域では感染が拡大しており、多くのカジノ従業員も例外ではない。

<事業認可のハードルは上昇>

新たなライセンスのもとでは、カジノは今後10年間で合計150億ドル(約1兆9900億円)を投資することを誓約するが、その90%は賭博以外の事業に投じなければならない。

だが業界幹部やアナリストによれば、カジノ各社が賭博以外の事業で収益を得ることは難しそうだ。旧ポルトガル植民地であるマカオで賭博産業が自由化された2001年以来、他分野での業績はパッとしない。

マカオの賭博産業を専門とするコンサルタント会社アイゲーミックスの創業者ベン・リー氏は、コロナ禍以前、他分野における収益は賭博事業全体の収益の平均5%前後だったが、これを今後10年間で30%以上に成長させなければならないと説明した。

「この20年間、賭博以外の分野で大きな成長を実現した事業者は1社もない」

リー氏は「賞賛されているラスベガスのビジネスモデルとは対照的に、アジア(のカジノ産業)では、賭博以外の事業ではあのレベルの利益率を稼げていない。ラスベガスとは消費行動が大きく違うからだ」と言う。過去の業績と経営陣を基準に考えれば、多角化の面でリードする可能性が高いのはギャラクシー、メルコ、サンズだろうと言葉を添える。

マカオのカジノを訪れるのは伝統的に30代以上で賭博を愛好する男性だ。だが近年では、もっと若い世代のファミリー客や女性客の姿も見られるようになっている。

中国南部、海に面した人口密度の高い地域であるマカオは、国内唯一、カジノでの賭博が合法化されている。

カジノ各社は昨年12月、新たなライセンスが公式に付与された後、屋内プール複合施設、健康センター、美術館など賭博以外の事業計画を公表した。サンズは、シンガポールにある「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」に似た、アトラクション設備を備えた大規模な植物園も予定している。

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