山口・阿武誤給付「その時点では受取人のもの」被告側が無罪主張

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山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円(463世帯分)を誤って1世帯に振り込んだ問題を巡り、全額を別の口座に振り替えたとして電子計算機使用詐欺罪に問われた会社員、田口翔被告(24)=同町=の論告求刑公判が27日、山口地裁(小松本卓裁判官)であり、検察側は懲役4年6月を求刑した。被告側は罪の構成要件を満たさないとして無罪を主張した。判決は2023年2月28日。

同罪の成立には、①コンピューターなどに虚偽の情報を入力して記録した②不法な利益を得た――の2要件を満たす必要がある。

検察側は論告で「被告には誤って振り込まれた預金を、自己のものとする実質的権限はなかった」とし、誤給付を銀行に告知する信義則上の義務があったと指摘。被告が別の口座に振り替えたのは「正当な権限」がなく、送金は虚偽の情報の入力に当たると主張した。その上で「ほぼ全てをオンラインカジノで使ったことは悪質だ」と非難した。

一方、弁護側は誤入金された現金について、最高裁が1996年の民事判決で示した「その時点では受取人のもの」との判断を基に「振り込みが完了した時点で契約が成立し、被告には現金を振り替える正当な権限があった」と主張。「銀行は誤入金を知っており、告知義務はなかった」などとして、虚偽情報の入力には当たらないと反論した。

上下黒のスーツに身を包んだ田口被告は、最終意見陳述で「多くの人に迷惑をかけ、申し訳ありませんでした」と謝罪した。

起訴状などによると、田口被告は4月8~18日、4630万円が誤給付と知りながらオンラインカジノの決済代行業者の口座に振り替えるなどし、不法に利益を得たとされる。町は誤給付分全額を既に回収しており、町が被告に全額の返還などを求めた民事訴訟は9月、和解が成立している。

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